冒険する組織のつくりかた
安斎 勇樹/テオリア

こんなリーダーにおすすめ
・いまの時代の組織づくりを学びたい
・リーダーの役割を見直したい
・仕事自体を面白くしたい
ざっくり目次
はじめに
序論 冒険する組織とはなにか?
ー「軍事的世界観」からの脱却
第1章 会社の「世界観」を変える5つの冒険的レンズ
・なぜ「目標が明確すぎる組織」は危ういのか?
・「使えるやつ」ではなく、「しっくりくる自分」になる
・御社はなぜ「やるべきこと」を実行できないのか?
第2章 自己実現をあきらめない「冒険の羅針盤」
・「らしさ」が見えない組織は、いきなり崩壊する
・なぜ大企業ほど「ナゾの仕事」が増えるのか?
・御社のなかで「いちばんズレているところ」は?
第3章 冒険する組織をつくる「5つの基本原則」
・目標は新法則「ALIVE」で設定する
・ハレとケの場づくりに工夫を凝らす
・「危機感」で社員を動かすのは、もうやめにしよう
第4章 冒険する「目標設定」のカギ
・現場の目標にこそ「追いかけたくなる意味」を込める
・冒険する組織にも「数値目標」は欠かせない
・理念は「腹落ち」させるものではない
第5章 冒険する「チームづくり」のカギ
・「自分をさらけ出すのがうまい人」はどんな話し方をしているか?
・「機能しないチーム」に欠けているもの
・「何年も一緒に働いているのに、つながりが弱い職場」の共通点
第6章 冒険する「対話の場づくり」のカギ
・「ファシリテーターとしての芸風」を全メンバーで磨く
・「声の大きい人」に振り回されないためには?
・「2つの流れ」を見直せば、会議のムダはすぐ減らせる
第7章 冒険する「学習文化づくり」のカギ
・リーダー自身が学んでいるか? 「学ぶ姿」を共有しているか?
・人を「道具」扱いする会社ほど、「仕事の定型化」にこだわる
・仕事の「属人性」を歓迎しよう
第8章 冒険する「組織変革」のカギ
・「社内勉強会」こそ最強の変革トリガー
・ミドルは変革の中枢。マネジャーこそ「自分」を尊重しよう
・「マネジャーがしんどい…」の正体──優秀な人が「自分主語」を捨てる瞬間
おわりに
内容
いま、働く人々の価値観は大きくシフトしています。
組織に従い、自分を押し殺す「軍事的世界観」を引きずる会社から、働く人たちはそっと、しかし確実に離れつつあります。
にもかかわらず、いまだに古いものの見方を捨てきれない組織やチームも少なくありません。
マネジャーのしんどさ、経営者の孤独、現場の息苦しさ、人材難──。
その根底にあるのは、「人と組織の世界観のズレ」です。
では、これからの時代に求められる組織とは、どのようなものなのでしょうか?
そのカギとなるのが「冒険的世界観」です。
本書では、
・人を「道具」として扱う従来型のマネジメントを手放し、
・個人のワクワクや探究心を包み込む組織にシフトするために、
「目標」「チーム」「会議」「成長」「組織」という5つのテーマから、
ズレをしなやかに解きほぐす具体的メソッドを解説します。
経営リーダー、ミドルマネジャー、人事担当者はもちろん、
現場でモヤモヤを抱えるすべての人にとって、
新たな航海に出るための「羅針盤」となる一冊です。
心に残ったフレーズ
90ページ1行目
「あの新人、成長したね」
職場でこんな会話がなされるのは、どんなときでしょうか?
人材の育成や評価と密接に関わる「成長」というキーワードもまた、組織づくりと切り離せません。人間の学びをとらえる成長の解釈にも、組織の世界観が色濃く反映されるため、レンズの吟味が必要なのです。
軍事的規像においては、成長とは「望ましいスキル・行動の習得」を意味します。
たとえば、新人セールスが商品知識を身につけて、顧客に商品説明ができるようになったとか、先輩が同行しなくてもクライアントから案件を獲得できるようになったとき、その新人は「成長した」と見なされます。
従業員を目標道成の「道具」と見なす組織では、計画に即した自律的なふるまいが選励されます。逆に、計画から逸脱した行動は、たとえ本人がよかれと思ってしたことであっても、フィードバックによって「矯正」されます。
まさに兵士の育成がそうであるように、戦略に基づいた計画をスムーズに遂行できるよう、求められた技術やアクションを開練・指導することが、軍事的組織における「人材育成」なのです。