リーダーの新常識・番外編「余白をつくる」ことも、リーダーの仕事

「今日も一日、忙しかった。」
会議に出て、メールに返信して、メンバーから相談を受け、問題が起きれば対応する。
リーダーになると、どうしても仕事が増えていきます。
予定表には隙間がなくなり、「忙しいこと」が当たり前になっている人も少なくないでしょう。
そんなリーダーに、少し意外な提案があります。
何もしない時間(余白)をつくってみませんか。
もちろん、本当に何もしないという意味ではありません。
立ち止まって、考える時間を持つということです。
忙しいと、「考える」がなくなる
仕事には、「すぐに対応しなければならないこと」がたくさんあります。
メールを返す。
資料を確認する。
会議に参加する。
部下からの相談に答える。
どれも必要な仕事です。
ところが、それだけで一日が終わってしまうと、
「そもそも、これは何のためにやっているのだろう。」
「このやり方で本当にいいのだろうか。」
「メンバーは今、何を感じているのだろう。」
そんなことを考える時間がなくなってしまいます。
忙しさは、思考する時間を奪います。
そして怖いのは、忙しく動いているため、自分ではそのことになかなか気づかないことです。
「すぐに答える」がリーダーの仕事ではない
メンバーから相談されたとき、
「それなら、こうすればいい。」
すぐに答えを出していないでしょうか。
もちろん、緊急の場合には必要です。
でも、ときには、
「あなたはどう思う?」
と問い返してみる。
あるいは、
「ちょっと考えてみようか。」
と、一緒に考える。
すぐに答えを出さないことによって、相手が考える時間が生まれます。
これは、何もしていないように見えて、実はとても大切なリーダーの仕事です。
「間」が、人を育てる
コミュニケーションでも同じです。
沈黙すると、不安になってすぐに話してしまう。
会議で意見が出ないと、リーダーが結論を言ってしまう。
失敗したメンバーを見ると、すぐにアドバイスする。
でも、その「間」に、相手は考えているのかもしれません。
少し待つ。
少し任せる。
少し見守る。
リーダーが一歩引くことで、メンバーが一歩前に出ることがあります。
何かをすることだけが、支援ではないのです。
リーダーにも、振り返る時間が必要
そして、もう一つ大切なのは、リーダー自身が立ち止まることです。
一日の終わりに5分でもいい。
「今日、うまくいったことは何だろう。」
「少し言い過ぎたことはなかっただろうか。」
「あの人の表情が気になったのはなぜだろう。」
そんなことを振り返ってみる。
これを「リフレクション(振り返り)」といいます。
経験しただけでは、経験はなかなか学びになりません。
経験を振り返り、そこから何かに気づいたとき、経験が学びに変わります。
だから、立ち止まる時間は決して仕事をしていない時間ではありません。
次の行動をより良くするための時間なのです。
AI時代だからこそ、「立ち止まる」
AIによって、私たちは以前よりも速く仕事ができるようになりました。
文章をつくる。
情報を調べる。
アイデアを出す。
資料をまとめる。
これから、そのスピードはさらに速くなるでしょう。
だからこそ、少し心配になります。
仕事が速くなった分だけ、私たちはさらに仕事を詰め込んでしまうのではないでしょうか。
AIがつくってくれた時間を、また仕事で埋めてしまう。
それでは、せっかくの便利さが「さらなる忙しさ」に変わってしまいます。
AI時代に必要なのは、速く動く力だけではありません。
ときどき立ち止まり、「これでいいのか」と考える力です。
リーダーの新常識、もうひとつ
これまで「リーダーの新常識」では、さまざまなリーダーの思い込みについて考えてきました。
決断しなければならない。
強くなければならない。
チームをまとめなければならない。
すべてを把握しなければならない。
そうした「○○しなければならない」を少し手放すことで、リーダーはもっと人と向き合えるのではないか。
そんなことを考えてきました。
そして、シリーズを終えた今、もう一つ付け加えるとすれば、
「リーダーは、いつも何かをしていなければならない」も、思い込みなのかもしれません。
立ち止まる。
考える。
待つ。
見守る。
そんな時間もまた、リーダーの仕事です。
今日、5分だけ何もしない
特別なことを始める必要はありません。
今日、5分だけ予定を入れない時間をつくってみてください。
スマートフォンを置いて、パソコンからも離れる。
そして、自分に一つだけ問いかけてみます。
「私は今、何を大切にして仕事をしているだろう。」
答えが出なくても構いません。
考えることそのものに意味があります。
忙しい毎日の中で、立ち止まる。
もしかすると、それがこれからのリーダーに必要な、とても小さくて大切な習慣なのかもしれません。
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