チームビルディングとは、チームや組織を構成するメンバーが一体感を持ちつつ、それぞれの個性を活かせる関係性を築くことです。ただし、すべてのメンバーを同じようにすることではなく、多様性を尊重しながら協働できる環境を整えることが重要です。
組織の成功循環モデル
チームや組織のメンバーが互いの個性を発揮できる関係性を築くことは、「関係の質」の向上と呼ばれます。これは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キム教授が提唱した「組織の成功循環モデル」の重要な要素です。
このモデルには、グッドサイクルとバッドサイクルの2種類のサイクルがあります。ちなみに、「Good Team Relations」の“Good”には、グッドサイクルの意味が込められています。
グッドサイクル
組織の成功循環モデルにおけるグッドサイクルは、「関係の質」の向上を最優先に考えるマネジメント手法です。以下の4つのステップを通じて、良好な循環が生まれます。

①「関係の質」の向上
お互いを尊重し、メンバー間で活発な対話が生まれる。
→ 関係の質の向上
②思考の質の向上
情報が共有され、他責ではなく自分ごととして捉えられる。
気づきが増え、積極的にアイデアを考えられる。
→ 思考の質の向上
③行動の質の向上
主体的・積極的に行動し、チャレンジ精神が高まる。
メンバー同士が助け合い、協働が生まれる。
→ 行動の質の向上
④結果の質の向上
行動の質が向上することで成果が出る。
成果を実感することで信頼関係が強まり、再び「関係の質」の向上につながる。
→ 結果の質の向上
このサイクルを回すことが、チームビルディングの本質です。
バッドサイクル
一方で、多くの職場ではバッドサイクルが生じがちです。これは、短期的な成果を優先しすぎて「行動の質」ばかりに焦点を当てることで発生します。

①行動の強要
早く結果を出すために行動を押し付ける。
②思考の質の低下
やらされ感が強まり、受け身になり、失敗を避ける姿勢が生まれる。
③関係の質の悪化
不信感や対立が生まれる。
④結果の低迷
成果が出ず、さらに行動の強要が強まる。
このような環境では、長続きする成果は得られず、メンタル面の負担や離職率の増加につながります。
「関係の質」の5段階
チームビルディングを考える際、「関係の質」には次の5つの段階があります。
ネガティブな関係(Destructive Relationship)
否定的な言動が繰り返され、対立が生じる。
中立的な関係(Neutral Relationship)
お互いに関心が薄く、無関心な状態。
交換関係(Transactional Relationship)
役割や責任が明確だが、関係は業務的なものに限定される。
相互依存関係(Interdependent Relationship)
互いに支援し合い、共通の目標に向かって協力する。
共感的な関係(Empathetic Relationship)
深い信頼と尊重があり、共感を持って接することができる。
チームビルディングの最終目標は、「共感的な関係」を築くことです。
共感的な関係を築くために:傾聴の重要性
傾聴(心をひらく聴き方)
信頼関係や協働関係の基盤となるのが、心理的安全性です。これを高める鍵となるのが「傾聴(心を開く聴き方)」です。
- あいづち:「はい」「なるほど」「それで?」と相槌を打つことで、話し手に安心感を与える。
- うなずき:適度な頷きをすることで、話し手に「聴いてもらえている」という実感を持たせる。
試しに、相手に無表情で話を聞かせる実験をしてみてください。話し手は「関心を持たれていない」と感じ、話しづらくなるはずです。このように、あいづちやうなずきは対話を円滑にする潤滑油となります。
メンバー全員が「聞き上手」になることが、チームビルディングの第一歩です。
まとめ
Good Team Relationsが考えるチームビルディングは、「関係の質」の向上を目的とし、組織の成功循環モデルのグッドサイクルを回すことです。そのために、対話の促進を手法として活用します。
私たちは、メンバーが安心して話せる場をつくり、自己開示しやすい環境を整えるワークショップを提供しています。対話と協働を通じて、より良いチーム・組織づくりをサポートします。

この相互理解が「関係の質」の向上につながります
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