ビジョンは組織やチームが持つ目的や存在意義を表します。
ただ、メンバーの想いが反映されていないビジョンは実行するのが難しい場合があります。
だからこそ、メンバーが共有しやすい、それぞれの想いを融合したシェアードビジョンを作ることが重要です。そうすることで、実行性が高まり、成果を出しやすい指針になります。
とかくビジョンは絵に描いた餅になりがちです。
そこで、行動につながるビジョンを作るための方法について説明します。

ビジョンとは

ビジョンとは一言で表現すれば「メンバーの想いの総意」です。

現状を分析したり、課題を抽出したり、外部環境を鑑みたりして進むべき方針を立てる。

これまでの中長期ビジョンは少なからず前述した流れで作成されていました。

しかし、現場の社員にとってはいわば密室で作成されたビジョンです。

トップダウンで押し付けられたビジョンが行動につながるのは難しいものです。なぜなら、押し付けられたビジョンでは内発的動機とならないからです。

ボトムアップで想いを集約した中長期ビジョン

シェアードビジョン

「メンバーの想いの総意」がシェアードビジョンです。トップダウンではなく、ボトムアップ。

デメリットは時間がかかること。しかし、時間をかけることで実は「関係の質」が向上するのです。

メンバーの想いを聴き、自分の想いを語る。

「関係の質」を向上させることでMIT(マサチューセッツ工科大学)の教授ダニエル・キム氏の組織の成功循環モデルをグッドサイクルでまわすことになるのです。

また、多くの人が参加し関与した方がビジョンの質が高まります。

多くの人が作成に関わった分、自分ごとになるのでおのずと実行性が高まります。

ビジョンシェアリング

例えるなら密室で作られたビジョンはビジョンシェアリングと呼ばれます。

外部環境や競合会社の動向などの現状を担当部署やコンサルティング会社が分析し導き出した方針。

この方針を役員会などで承認します。その後、組織の隅々まで浸透させていくのがビジョンシェアリングです。

多くの組織・チームのビジョンはこうしたトップダウンです。

このビジョンをどう自分の仕事に落とし込むか。

多くの場合、ビジョンへの共感というより行動を求められるケースが多いようです。

つまり、組織の成功循環モデルのバッドサイクルです。

自分ごとにできない目標は行動につなげることが難しくなります。

リーダーシップのない組織・チームのパフォーマンスが上がらないのは火を見るより明らかです。

ビジョンの作成

Good Team Relationsはワークショップを活用してシェアードビジョン作成をお手伝いします。

ワークショップでは参加者の主体的、積極的な参加を促します。対話と協働が生まれる場をつくり、メンバーそれぞれの「想い」を集約していきます。

「わたしの想い」が組織・チームを構成する細胞の一つになり、「想いの総意」が組織の軸となるのです。

だからこそ、メンバー各自の責任ある行動につながります。

職場に必要な「PERMA」

ウエルビーイング

ビジョンを考えていく上で最近注目されているのがウエルビーイング。
ウエルビーイングとは、Well(よい)とBeing(状態)を合わせた言葉です。幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態をいいます。

幸福の5つの要素

マーティン・セリグマンは、ポジティブ心理学という分野を開拓した心理学者です。セリグマンは、幸福の5つの要素を「PERMA」という頭字語で表しています。

Positive Emotion(ポジティブな感情)

楽しさ、喜び、愛、希望など、人間が感じるポジティブな感情を指します。
ポジティブな感情を持つことで、人間は心身ともに健康的であることがわかっています。

Engagement(エンゲージメント)

夢中になれる活動を行うことで、集中力が高まります。
仕事や趣味、スポーツなど、自分にとって意味のある活動に夢中になることです。

Relationship(関係性)

人間は社交的な動物であり、他者との関係を築くことで幸福を感じることができます。
関係性は、親しい友人、家族、同僚など、様々な形で表れます。

Meaning(意味)

自分にとって意味のあるものを追求することで、人間は幸福を感じることができます。
自分がやりたいことや、人生において価値あるものを作り出すことが、意味を持つことにつながります。

Accomplishment(成果)

自分自身の能力を発揮し、達成感を得ることで幸福を感じることができます。
成果は、自分が設定した目標を達成することです。自分の能力を発揮することで得られます。

中長期ビジョンと「PERMA」

5つの幸福要素は、中長期的なビジョンに対して重要な役割を果たすことができます。

まず、ポジティブな感情とエンゲージメントの要素は、組織の中長期的なビジョンに対する共感と意欲を高めることができます。組織のビジョンに共感し、それに取り組む意欲がある社員は、より高い生産性や創造性を発揮することができます。

次に、意味や目的の要素は、組織の中長期的なビジョンにつながる価値観や目的に関する理解を深めることができます。社員が組織のビジョンや目的に共感し、自分自身の存在意義や役割をそれに照らして理解することができれば、より自発的に取り組み、より良い成果を生み出すことができます。

また、関係性や達成感の要素は、組織内での協働やチームワークを促進することができます。社員が協力的な関係性を築き、共通の目標を達成するために協力し合うことができれば、組織の中長期的なビジョンの達成に向けた戦略的な取り組みが可能となります。

最後に、成長や貢献の要素は、組織の中長期的なビジョンに対する個人の成長や貢献に関する意識を高めることができます。社員が自己成長や貢献を実現することができれば、組織の中長期的なビジョンの達成に向けた戦略的な取り組みに貢献することができます。

まとめ

以上のように、5つの幸福要素は、組織の中長期的なビジョンに対して共感し、意欲を高め、戦略的な取り組みを促進することができます。つまり、組織の中長期的なビジョンの実現に不可欠な要素であると言えます。

また、「想いの総意」の作成方法は「シェアードビジョン」と「ビジョンシェアリング」の2つのスタイルがあります。

実行性が高いのは、ボトムアップでメンバーの総意として生成した「シェアードビジョン」です。

5つの幸福要素の視点を入れながメンバーの総意として生成された「ビジョン」こそが、未来の職場を創るのです。

レゴの作品がたくさん置かれた風景
メンバーそれぞれのビジョンを集約。
メンバーの総意として組織・チームの目指す姿を言語化します

過去のブログ記事はこちら
ビジョンシェアリングとシェアードビジョン あなたはどっち派?