第8回 学びをチームで共有する仕組み

仕事をしていると、一人ひとりがさまざまな経験をします。

「この方法でやったら、うまくいった」

「お客様から、こんなことを言われた」

「失敗したけれど、原因が分かった」

こうした経験には、たくさんの学びが含まれています。

しかし、その学びが本人の中だけにとどまっていたら、チームの力にはなりません。

学習する組織をつくるためには、一人の学びを、みんなの学びに変えていくことが大切です。

今回は、チームの中で学びを共有するための仕組みについて考えていきます。

■ 「知っている人」だけが知っている状態になっていないか

チームの中には、たくさんの知識や経験があります。

ところが、

  • ベテランしか知らない仕事のコツ
  • 特定の人しか分からない手順
  • 以前の失敗から得た教訓
  • お客様への上手な対応方法

などが、その人の中だけに残っていることがあります。

その人が休んだり、異動したりすると、

「これ、どうやるんだっけ?」

ということが起こります。

これは、個人には知識があっても、チームの知識にはなっていない状態です。


■ 学びは「話す」ことで広がる

学びを共有するというと、マニュアルをつくったり、データベースに情報を蓄積したりすることを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それも大切です。

しかし、もっと簡単な方法があります。

それは、話すことです。

例えば会議の最後に、

「今週、仕事をしていて気づいたことはありますか?」

と聞いてみる。

あるいは、

「最近、うまくいった工夫を一つ教えてください」

と話してもらう。

それだけでも、個人の経験がチームに広がっていきます。

大切なのは、学びを共有するための小さな機会をつくることです。


■ 「教え合う」ことで、学びはさらに深くなる

人に何かを教えようとすると、自分の理解も深まります。

「なぜ、これがうまくいったのだろう?」

「どう説明すれば伝わるだろう?」

と考えるからです。

そのため、学習する組織では、

教える人と教わる人を固定しない

ことも大切です。

経験の長い人が若手に教えるだけではありません。

若手が新しく学んだことを共有したり、新しいツールの使い方をベテランに教えたりすることもあります。

誰もが「教える人」にも「学ぶ人」にもなる。

そんな関係が、チームの学びを豊かにします。


■ 共有するだけで終わらせない

ただし、学びを共有しただけでは十分ではありません。

「いい話だったね」

で終わってしまえば、やがて忘れられてしまいます。

そこで大切なのが、

「私たちの仕事にどう活かせるだろう?」

という問いです。

例えば、誰かが成功事例を共有したら、

「ほかの仕事でも使えそう?」

「次回から取り入れられることはある?」

と話してみる。

共有した学びを、次の行動につなげる。

ここまでできると、学びがチームの中で動き始めます。


■ 学びを共有する「小さな仕組み」をつくる

学びの共有を続けるためには、「誰かが思いついたときにやる」だけでは続きません。

そこで、小さな仕組みにしてしまいます。

例えば、

  • 会議の最後に「今日の学び」を一人ずつ話す
  • 週に一度「うまくいったこと」を共有する
  • 月に一度、失敗から学んだことを話す
  • 新しく知ったことをチャットで共有する

などです。

大がかりな制度をつくる必要はありません。

むしろ、無理なく続けられる小さな仕組みのほうが効果的です。


■ リーダーも「学ぶ人」になる

ここで、リーダーに大切にしてほしいことがあります。

それは、自分も学びを共有することです。

「私はこう考えていたけれど、違っていました」

「今回の経験から、こんなことに気づきました」

「これは○○さんから教えてもらいました」

こうした言葉を口にすると、メンバーも自分の学びを話しやすくなります。

リーダーだからといって、いつも答えを持っている必要はありません。

リーダー自身が学ぶ姿を見せることも、学習する組織をつくる大切な一歩です。


■ まとめ

一人の経験は、一人だけのものです。

しかし、それを言葉にして共有すると、チームの学びになります。

そして、その学びを誰かが試し、また新しい気づきを共有する。

そんな循環が生まれると、チームは少しずつ成長していきます。

学習する組織とは、たくさんの知識を持っている組織ではありません。

「私はこんなことを学んだよ」と、自然に教え合える組織。

そんな小さな関係づくりから、学び続けるチームは生まれていきます。


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