第9回 失敗を活かせるチームになる

仕事をしていれば、失敗することがあります。
判断を間違える。
確認を忘れる。
思ったような結果が出ない。
できれば失敗はしたくありません。
でも、どんなに気をつけても、失敗をゼロにすることは難しいものです。
大切なのは、失敗しないチームを目指すことではなく、失敗から学べるチームになることではないでしょうか。
今回は、失敗をチームの学びに変えるために、リーダーができることを考えてみます。
なぜ失敗は隠されるのか
失敗したとき、
「怒られるかもしれない」
「評価が下がるかもしれない」
「自分の能力が低いと思われたくない」
そんな気持ちが生まれることがあります。
すると、人は失敗を話さなくなります。
小さなミスなら黙っておこう。
自分で何とかしよう。
できるだけ目立たないようにしよう。
しかし、失敗が共有されなければ、チームはそこから学ぶことができません。
そして、別の誰かが同じ失敗を繰り返すかもしれません。
失敗そのものよりも、失敗から何も学ばないことのほうが問題なのです。
最初の一言が、その後を変える
メンバーから失敗の報告を受けたとき、リーダーはどんな言葉を返すでしょうか。
「どうしてこんなことになったの?」
「ちゃんと確認した?」
そう言いたくなることもあるでしょう。
しかし、最初から責められたと感じると、相手は自分を守ろうとします。
そこで、まずは、
「報告してくれてありがとう」
「まず、何が起きたのか教えてください」
と受け止めてみる。
もちろん、失敗をそのまま許すということではありません。
必要な対応や責任はあります。
それでも、まず事実を話せる状態をつくる。
それが、失敗から学ぶための入口になります。
「誰が悪い?」から「何が起きた?」へ
失敗が起きると、私たちはつい原因となった人を探してしまいます。
しかし、
「誰が悪かったのか」
だけを考えていると、そこで話が終わってしまうことがあります。
学びにつなげるためには、
「何が起きたのだろう?」
と考えてみます。
例えば、確認ミスがあったとします。
単純に「担当者が確認しなかった」で終わらせず、
「確認する手順は分かりやすかったか」
「仕事が一人に集中していなかったか」
「確認する時間は十分にあったか」
と見ていく。
すると、個人の問題だけではなく、仕事の進め方や仕組みに改善できる部分が見えてくることがあります。
失敗を「次にどうする?」につなげる
失敗を振り返る目的は、過去を責めることではありません。
次をよくすることです。
そのために、失敗が起きたときは、
「今回から何を学べるだろう?」
「次は何を変えればいいだろう?」
と考えてみます。
例えば、
「次回からチェックリストを使おう」
「重要な案件は二人で確認しよう」
「分からないときは早めに相談しよう」
という具体的な行動につなげます。
失敗を振り返っただけで終わらせず、次の仕事を少し変える。
そこまでできて初めて、失敗が学びになります。
成功だけでなく、失敗も共有できるチームへ
チームでは、成功事例が共有されることはよくあります。
「こんな成果が出ました」
「この方法がうまくいきました」
もちろん、それも大切な学びです。
でも、
「これはうまくいかなかった」
「こうしたら失敗した」
という経験にも、たくさんの学びがあります。
誰かの失敗を共有することで、ほかのメンバーが同じ失敗を避けられるかもしれません。
一人の失敗が、チーム全体の知恵になる。
そんな関係ができれば、失敗の意味は大きく変わります。
リーダー自身も失敗を話してみる
失敗を話せるチームをつくるために、リーダー自身ができることがあります。
それは、自分の失敗を隠さないことです。
「私も以前、同じような失敗をしたことがあります」
「今回の判断は、私にも改善すべきところがありました」
「ここは私の考えが足りませんでした」
リーダーが自分の失敗を話すと、
「失敗を話してもいいんだ」
というメッセージになります。
完璧なリーダーを演じるよりも、自分も失敗し、そこから学ぶ姿を見せる。
それも、学習する組織をつくるリーダーの大切な役割です。
失敗を歓迎する必要はない
「失敗から学ぶ」と言うと「失敗してもいい」「どんどん失敗しよう」
という意味に聞こえるかもしれません。
そうではありません。
防げる失敗は防ぐ。
同じ失敗を何度も繰り返さない。
大きなリスクがある場面では慎重に判断する。
それは当然です。
大切なのは、起きてしまった失敗を責めるだけで終わらせないことです。
失敗を学びに変え、次の行動を変える。
それができれば、失敗した経験もチームの成長につながります。
まとめ
強いチームとは、失敗しないチームではありません。
失敗が起きたときに、
隠さずに話す。
一緒に振り返る。
そこから学ぶ。
そして、次の行動を変える。
そんなことができるチームです。
失敗を責める材料ではなく、次をよくするための材料にする。
その積み重ねが、同じ失敗を減らし、チームの経験を知恵へと変えていきます。
学習する組織とは、成功からだけではなく、失敗からも学び続ける組織なのです。
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