理念経営2.0

佐宗 邦威(著)/ダイヤモンド社

こんなリーダーにおすすめ

・経営理念を見直したい
・メンバーみんなが納得できるビジョンを持ちたい
・組織を変えたいけれど何から着手していいかわからない

ざっくり目次

はじめに──いま、なぜ経営者は「自社の存在意義」について考えるのか?
押し寄せる「パーパス相談」のなかで抱えていた葛藤
わざわざ「群れ」で働く意味はあるんだろうか?
あえて理念を決めたくない経営者の心理

序章 21世紀の企業理念──ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスとはなにか?
「パーパス経営の祭り」の正体 
「だれ」が企業理念をほしがっているのか?
理念経営の新しい常識──1.0と2.0
「企業のライフサイクル」から見る3つの企業理念
企業理念をとりまく「6つの課題」

第1章【ビジョン】未来への「動力」をつくる
ビジョンとは「夢」である──あらゆる「資産」を動かすもの
中期経営計画から長期ビジョンへ
これから求められるビジョンとは?──ステートメントから物語へ
その未来像は十分に「具体的」か?──ビジョンの解像度
[実践ワーク]だれもが未来思考になれる「未来新聞」

   

第2章【バリュー】「こだわり」を可視化し、自分たちの輪郭を描く
リモートワークが生み出す仲間意識の希薄さ
自由になれば、人はフリーエージェント化するのか?
最高の体験から始める
共通の「嫌い」から浮かび上がる個性的な価値観
[実践ワーク]「らしさ」の輪郭をつくる「こだわりキャンバス」

第3章【ミッション/パーパス】組織の中心軸となる社会的意思を定める
会社の存在意義が問われる時代
ミッションとの出会い方──意味の片づけをしよう
存在意義の見直しから始まるターンアラウンド
企業の発達段階に合わせてつくるパーパス
[実践ワーク]自社の「真ん中」にあるものを棚卸しする

   

第4章【ナラティブ】理念を「自分ごと」へと語り直す
伝わらない理念と伝わる理念の差
ナラティブが重視される理由とは
9つの問いで「組織のナラティブ」を引き出す──パーパスナラティブキャンバス
いかにして組織の物語を「自分ごと化」させるか?
[実践ワーク]日常にナラティブを埋め込むコツ

第5章【ヒストリー】会社に埋蔵された「原点」を掘り起こす
会社の歴史は重要な経営資源である
歴史を定義し直して、新たな未来へのナラティブを生もう
「伝説」となった歴史を解きほぐす──パナソニックの方法
「原点」を発見しよう──歴史編纂プロジェクトの6ステップ
[実践ワーク]個人と組織をつなぐ「年表ワーク」

  

第6章【カルチャー】理念を体現する文化づくり
自社の思考・行動にはどんな「クセ」があるか?
「価値創造モデル」によって自社の強みを見出す──可視化の方法
「らしさ」を物語にしてみよう──文化醸成の方法①
仕組み化による「クセ」のデザイン──文化醸成の方法②
[実践ワーク]組織の「クセ」を発見する口グセワーク

第7章【エコシステム】理念を育てる「生態系」をつくる
ミッション・ビジョン・バリューの使い方
「理念経営の生態系」が育む4つのサイクル
企業理念の実装への道
[実践ワーク]自社流の「理念の生態系」を発明する

  

終章 意義をつくる会社へ
「モノを生む組織」から「チエを創る組織」へ
6つの経営資源がなぜ「儲け」につながるのか?

おわりに──私たちはなぜ群れるのか
謝辞
[参考資料]各社の企業理念一覧

内容

従業員の意識変化、複雑化する事業課題に対応するための他組織との連携・共創の重要性の増大などを背景に、経営者にはさまざまな場面で「企業理念」が要請されるようになった。そして、企業の存在価値をステークホルダーに明確に発信して事業推進に挑む「パーパス経営」に経営者たちの注目を集める。
こうした中、これからの時代に必要な新しい理念経営のあり方=理念経営2.0を提唱しているのが本書だ。

本書では、組織の目指す未来を描く「ビジョン」、組織の共通の価値観「バリュー」、組織の中心軸となる社会的意義「ミッション/パーパス」、理念を自分ごとへと語り直す「ナラティブ」、会社に埋蔵された原点を掘り起こす「ヒストリー」、理念を体現する文化「カルチャー」という6つの経営資源と、理念を育てるための生態系「エコシステム」に着目し、企業理念の新しい作り方と使い方を提案している。

心に残ったフレーズ

37ページ3行目
 企業理念をつくるとき、これまでは創業者が日々の経営を通じて大事にしたい原則を言語化し、憲法のように制定していた。
 ・
 ・(中略)
 ・
 しかし現代では、創業者がつくった理念を一方的に浸透させようとしても、社員になかなか響かない。それは、世の中の価値観が多様化し、「トップの価値観=組織の価値観」とはなりにくくなっているからだ。
 これからの企業理念は、「社長の誓い」ではなく、「みんなの物語」の源泉としての性格を持つようになる。そんな理念をつくるには、組織のなかに暗黙裡に存在する思想を掘り起こし、言語化していくことが必要となる。

 つまり、理念経営の常識そのものが大きく変わりつつあるのだ。
 ここで、「社長の誓い」としての企業理念を植えつけていく経営スタイルが理念経営1.0であるとすれば、あくまでも「みんなの価値創造の物語を生むためのソース」として企業理念を位置づけていくあり方は理念経営2.0と呼ぶことができるだろう。

〈リンク〉
Good Team Relationsのビジョン作成

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