第2回 「いい質問」と「よくない質問」は何が違うのか

「なぜ、できなかったの?」
「ちゃんと確認した?」
「もっと早く相談できなかった?」
仕事の中で、こんな質問をしたことはないでしょうか。
リーダーとしては、責めるつもりはなく、原因を知りたいだけかもしれません。
でも、聞かれた側は、
「怒られている」
「責められている」
と感じることがあります。
質問は、相手の考えを引き出すこともあれば、反対に、相手を黙らせてしまうこともあります。
では、「いい質問」と「よくない質問」は何が違うのでしょうか。
■ 質問したのに、相手が話してくれない
「どうして意見を言ってくれないんだろう」
そう感じるリーダーもいるかもしれません。
でも、その原因は相手だけにあるとは限りません。
例えば、
「このやり方が一番いいと思わない?」
と聞かれたら、どうでしょう。
質問の形にはなっていますが、
「一番いいと思ってほしい」
というリーダーの答えが、すでに入っています。
メンバーは、
「はい、そう思います」
と答えるしかないかもしれません。
質問をしているようで、実は答えを求めている。
これでは、相手の考えを引き出すことは難しくなります。
■ 「なぜ?」が相手を追い詰めることもある
「なぜ?」は、とても便利な質問です。
理由や背景を知ることができます。
しかし、使い方には少し注意が必要です。
例えば、失敗したメンバーに、
「なぜ、こんなミスをしたの?」
と聞く。
リーダーは原因を知りたいだけでも、相手には、
「どうしてこんなこともできないの?」
と聞こえてしまうことがあります。
すると相手は、考えるより先に自分を守ろうとします。
言い訳をしたり、黙ったりするかもしれません。
そんなときは、
「何があったの?」
「どんな状況だった?」
「どこで難しさを感じた?」
と聞いてみる。
同じ原因を探す質問でも、受け取られ方は変わります。
質問の言葉が変わると、対話の空気も変わるのです。
■ いい質問は「考える余白」をつくる
いい質問には、一つの特徴があります。
それは、相手が自分で考えられる余白があることです。
例えば、
「A案がいいですよね?」
ではなく、
「A案とB案、それぞれどんな良さがあると思う?」
と聞いてみる。
「これで問題ないよね?」
ではなく、
「気になるところはある?」
と聞いてみる。
リーダーが答えを決めてから質問するのではなく、相手が自分の考えを言える余白を残す。
すると、自分とは違う意見や、思いもしなかったアイデアが出てくることがあります。
質問は、リーダーが答えを確認するためだけのものではありません。
まだ見えていない答えを、一緒に探すためのものでもあります。
■ 答えやすい質問から始める
「何か意見はありますか?」
会議でよく聞く質問です。
でも、突然こう聞かれても、なかなか答えられないことがあります。
質問の範囲が広すぎるからです。
そんなときは、
「この案のいいところは、どこだと思いますか?」
「一つ変えるとしたら、どこを変えますか?」
と、少し具体的にしてみます。
すると、考える入口ができます。
相手に考えてもらいたいからといって、難しい質問をする必要はありません。
いい質問とは、難しい質問ではなく、考え始めやすい質問でもあるのです。
■ 質問の「目的」を考えてみる
質問する前に、一度だけ考えてみてほしいことがあります。
「私は、何のためにこの質問をするのだろう?」
原因を知りたいのか。
相手の考えを知りたいのか。
新しいアイデアを出したいのか。
相手に気づいてほしいのか。
質問の目的が分かると、言葉も変わってきます。
反対に、
「自分の考えが正しいと認めてほしい」
「相手に反省させたい」
という気持ちが強いと、それも質問に表れます。
質問には、言葉だけではなく、質問する人の姿勢も表れるのです。
■ いい質問の後には「いい聴き方」が必要
第1回でも触れましたが、質問は、聞いて終わりではありません。
質問した後に、
相手の話を最後まで聴く。
すぐに否定しない。
答えが出るまで少し待つ。
「なるほど」と受け止める。
こうした姿勢があって、初めて質問が生きてきます。
せっかく、
「あなたはどう思う?」
と聞いても、
「いや、それは違うよ」
とすぐに否定されたら、次から意見を言いたくなくなるでしょう。
いい質問と、いい聴き方はセットです。
■ 明日から使える3つの質問
今回は、相手が考えやすく、話しやすい質問を3つ紹介します。
「あなたは、どう思う?」
まず相手の考えを知るための、シンプルな質問です。
「どんな状況だった?」
失敗や問題が起きたとき、いきなり「なぜ?」と責めるのではなく、まず事実や状況を知るために使えます。
「一つ変えるとしたら、何を変える?」
漠然と「どうしたらいい?」と聞くより、考える範囲を少し絞ることができます。
大切なのは、質問を覚えることではありません。
相手が、
「ちょっと考えてみよう」
と思える質問になっているかどうかです。
■ まとめ
いい質問とは、格好いい質問でも、難しい質問でもありません。
相手を試すための質問でもありません。
相手が安心して話せる。
自分の考えを整理できる。
そして、新しいことに気づく。
そんなきっかけをつくる質問です。
質問する前に、少しだけ考えてみてください。
「この質問をされたら、相手は考えたくなるだろうか。それとも、答えにくくなるだろうか。」
その小さな意識だけでも、質問は変わります。
そして質問が変われば、対話が変わります。
対話が変われば、チームの関係も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
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