ゆるい職場

古屋星斗/中央公論新社

こんなリーダーにおすすめ

・Z世代について理解したい
・若手社員との接し方がよくわからない
・人材育成をアップデートしたい

ざっくり目次

はじめにー若者はなぜ会社を辞めるのか。古くて、全く新しい問題

第一章 注目すべきは「若者のゆるさ」ではなく「ゆるい職場」

1若者の早期離職状況 
 日本の若者就労の特徴/3割の退職者/大手企業だけが上がっている

2これだけ変わった日本の職場運営ルール
 「職場運営法」改革/すべてはブラック企業批判から始まった/若者が求める職場環境の条件/日本の職場を変えた3本の法律/ほかにもある職場運営法改革/後押しするマーケット/「ゆるい職場」の登場

第二章 若者はなぜ会社を辞めるのか

1グレートリセットされた日本の職場
 不可逆的な変化/新卒社員の労働時間/負荷の低下/叱責されたことがない/職場環境の好転/リアリティショックの縮小

2好きなのになぜ辞めるのか
 高まる若者の不安/転職できなくなるんじゃないか

 

3若者の「不安」の正体
 なぜ職場環境が良くなっているのに不安なのか/不満型転職から不安型転職へ/不安をどうマネジメントするか/ロールモデルになりえない上司・先輩/世界でも起こる若者と職場の関係変化

第三章 「ゆるい職場」時代の若者たち

1二層化する若者
 「最近の若者」論の限界/コスパ志向/異なる2つの姿勢

2“白紙”でなくなる新入社員たち
 入社時点ですでに違う/学生時代の活動/社会的経験の量/世代間での大きな差/「社会的経験」がもたらすもの/「不安」を感じる新入社員/新入社員の“大人化”

3「過去の育て方が通用しない」を科学する
 10年前の新卒社員と比べる/2016年卒という転機/難問の浮上

第四章 「ありのままで」、でも「なにものか」になりたい。入社後の若者に起こること

1“優秀な若者”の研究
 若者の悩みと希望/矛盾する2つのキャリア観/情報だけが多くても展望は開けない/行動がキャリアをつくる/4つの実像

2スモールステップで動き出す若者たち
 育成の主語の転換/小さな行動から始める/スモールステップの特徴/アクションと性質/実践5要素/ゆるい職場とスモールステップ

  

第五章 若者と職場の新たな関係

1定着させることが本当の目的なのか
 離れ小島に囲い込む/社外活動の効用/転職がなくなるとき

2「コミットメントシフト」がもたらす新しい関係
 関係社員を増やす/新しい関係の成立/ハイパー・メンバーシップ型

第六章 若手育成最大の難問への対処

1「ゆるい職場」時代の解決不能な問題
 2つの難問/成長した若手ほど辞める

2第一の難問に対処する
 いかに関係負荷なくストレッチな仕事をさせるか/横の関係で育てる

3第二の難問に対処する
 自律的でパフォーマンスの高い若者/仕事外の新たな使い方/社内・職場内の「外側の世界」/開示しやすい空気/不安をマネジメントする

 

第七章 助走としての学校生活

1若者を育てるスタートライン
 学校を変えなくては優秀な若者は採用できない/動機なき学校選択

2学びの動機はどうつくられるか
 外側にしか学校生活の動機は存在しない/学びの選択が自由な国

第八章 ゆるい職場と新しい日本

1キャリア選択が世界一自由な国をつくる
 自由の二重奏/行動と動機の好循環を巻き起こす/企業の新しいメンバーシップ/余白を活かすキャリアづくり/あらゆる経験が活きる

2日本が今後直面する課題
 「誰が若手を育てるのか」問題/自律なき自由/はびこるパターナリズム/遅い選択の問題

おわりに
参考文献

内容

「今の職場、“ゆるい”んです」「ここにいても、成長できるのか」。そんな不安をこぼす若者たちがいます。2010年代後半から進んだ職場運営法改革により、日本企業の労働環境は「働きやすい」ものへと変わりました。しかし一方で、若手社員の離職率はむしろ上がっており、当の若者たちからは、不安の声が聞かれるようになりました。"ゆるい職場"に対しては、不平不満ではなく『不安』が大きくなっていたのです。

本書は、企業や日本社会が抱えるこの課題と解決策について、データと実例を示しながら解説します。課題を解消するためのヒントとして、"横の関係で育てる"&"外を使って育てる"を挙げています。

心に残ったフレーズ

66ページ3行め
 「不満」をマネジメントするのは実は簡単だった。会社や上司に対する不満を晴らすためには、同僚や同期と飲みに行って愚痴を言い合えばたちまちその何割かは解決していたかもしれない。はたまた、上司や先輩が不満を抱えていそうな部下を察して「一杯行くか」と1対1で飲みに行き、腹を割って話せば、若手の悶々としていた悩みもどこかへ行ってしまっていたかもしれない。上司の指示や叱責が理不尽で納得がいかなくて、それでも飲み込んで働いている若手にはこうした機会こそが解決手段となりえた。深夜土日まで自分だけが残業して不満を溜めていても、上司から「見てるぞ」「頑張ってるな」と言われればその一言で震えるほど嬉しかった、という経験がある読者も多いのではないか。
 しかし、「不安」、特にキャリアの不安は別だ。

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中略
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 企業や上司には、若手のキャリア不安をいかにして解消するのか、というこれまでに日本企業が直面したことのない新たな課題が発生しているのだ。

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