第4回 1on1で使える質問

「最近、どう?」

1on1で、こんな質問から始めることはないでしょうか。

すると、

「特に変わりません」

「大丈夫です」

という答えが返ってくる。

そこで仕事の進み具合を確認し、リーダーがアドバイスをして、1on1が終わる。

これでは、せっかく二人で話す時間をつくっても、普段の業務報告とあまり変わりません。

1on1は、リーダーが状況を確認するだけの時間ではありません。

メンバーが自分の仕事や成長について考え、それを言葉にする時間でもあります。

今回は、そんな1on1をつくるための質問について考えてみます。

■ 「最近どう?」が悪いわけではない

「最近どう?」

決して悪い質問ではありません。

自由に話してもらうきっかけになります。

ただし、あまりに範囲が広いため、

「何について答えればいいんだろう?」

と迷うことがあります。

そこで、少し具体的にしてみます。

「最近の仕事で、うまくいったことはある?」

「今、一番気になっている仕事は何?」

「最近、少し困っていることはある?」

こうすると、話す入口ができます。

大切なのは、立派な質問をすることではありません。

相手が話し始めやすい入口をつくることです。


■ できていないことだけを聞かない

1on1では、つい「問題」に目が向きます。

「困っていることは?」

「課題は?」

「何ができていない?」

もちろん、課題を確認することも必要です。

でも、そればかりでは1on1が「問題を報告する時間」になってしまいます。

そこで、

「最近、うまくいったことは?」

と聞いてみます。

そして、

「なぜ、うまくいったと思う?」

と続けてみる。

すると、

「事前に相談したのがよかった」

「今回は早めに準備した」

「○○さんに協力してもらった」

と、成功の理由が見えてきます。

うまくいかなかったことだけでなく、うまくいったことからも学ぶ。

これも1on1の大切な役割です。


■ アドバイスする前に質問してみる

メンバーから、

「仕事がうまく進まなくて困っています」

と言われたら、どうするでしょうか。

経験のあるリーダーほど、

「それなら、こうしたほうがいいよ」

とアドバイスしたくなります。

もちろん、それが必要な場面もあります。

でも、その前に一つ質問してみます。

「何が一番難しいと感じている?」

あるいは、

「自分では、どうしたらいいと思っている?」

すると、相手がすでに解決策を持っていることがあります。

話しているうちに、自分で気づくこともあります。

アドバイスする前に、一度質問する。

それだけで、1on1は「教えてもらう時間」から「自分で考える時間」に変わっていきます。


■ 「これから」を考える質問も入れてみる

1on1では、今の仕事や問題だけでなく、少し先のことも話してみたいものです。

例えば、

「これから挑戦してみたい仕事はある?」

「もう少し伸ばしたいと思っていることは?」

「半年後、どんなことができるようになっていたい?」

こうした質問には、すぐに答えが出ないかもしれません。

それでもかまいません。

普段の仕事では、どうしても「今日やること」「今週やること」に意識が向きます。

1on1だからこそ、少し立ち止まって、自分の成長について考える時間をつくることができます。


■ 沈黙を埋めなくていい

成長や将来について質問すると、相手が黙ることがあります。

半年後、どうなっていたい?

「……」

こんなとき、リーダーは不安になります。

「質問が悪かったかな」

「何か話さなければ」

と思って、すぐに次の質問をしたり、自分の話を始めたりする。

でも、その沈黙は、相手が考えている時間かもしれません。

第3回でも触れましたが、沈黙は何も起きていない時間ではありません。

少し待ってみる。

そして相手が話し始めたら、最後まで聴いてみる。

1on1では、質問の数よりも、こうした「待つ時間」のほうが大切なこともあります。


■ 1on1を「質問攻め」にしない

質問が大切だからといって、

「最近どう?」

「困っていることは?」

「原因は?」

「どうしたい?」

「ほかには?」

と次々に質問すると、相手は疲れてしまいます。

まるで面接や尋問のようになってしまうこともあります。

質問したら、答えを聴く。

気になった言葉があれば、

「もう少し聞かせて」

と深める。

ときには、

「私も似た経験があったよ」

と自分の経験を話してもいいでしょう。

1on1は、リーダーが質問し、メンバーが答えるだけの時間ではありません。

二人で考える対話の時間です。


■ 「何を質問するか」より「何を聴くか」

1on1の前に、

「今日はどんな質問をしよう」

と考えることは大切です。

でも、用意した質問を全部する必要はありません。

相手が話した言葉の中に、次の質問のヒントがあります。

例えば、

「最近、この仕事がちょっと大変で……」

と言ったら、

「大変」という言葉に注目して、

「どんなところを大変に感じている?」

と聞いてみる。

すると、用意していた質問では出てこなかった話が始まるかもしれません。

いい質問は、相手の話をよく聴くことから生まれます。

質問力と聴く力は、やはり切り離せないのです。


■ 明日から使える3つの質問

今回の3つは、1on1の流れを意識して選びました。

「最近、うまくいったことは?」

まずは、できていることや前向きな変化に目を向ける質問です。

「今、一番気になっていることは?」

仕事、職場、人間関係など、相手が今話したいテーマを見つける入口になります。

「これから、やってみたいことはある?」

目の前の問題だけでなく、少し先の成長や挑戦について考える質問です。

3つすべてを聞く必要はありません。

一つ質問したら、答えをゆっくり聴く。

そこから次の対話をつくってみてください。


■ まとめ

1on1というと、

「何を質問すればいいのだろう」

と考えてしまいがちです。

もちろん、質問は大切です。

でも、もっと大切なのは、

質問によって、相手が自分自身について考えられる時間をつくることです。

質問する。
聴く。
少し待つ。
気になった言葉を、もう一度聞いてみる。

そして、ときには一緒に考える。

1on1は、リーダーが答えを与える時間ではありません。

メンバーが自分の仕事や成長について考え、言葉にしていく時間です。

「何を質問するか」だけではなく、「どれだけ相手の言葉を聴けるか」。

そこに、1on1を変える質問力があるのではないでしょうか。


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