会社の老化は止められない 未来を開くための組織不可逆論

細谷 功 (著)/亜紀書房

こんなリーダーにおすすめ

・会社に閉塞感がある
・毎日がルーチン活動でしかない
・時代に対応した組織づくりがしたい

ざっくり目次

はじめに 本書のキーメッセージ

第1章 会社という名の不可逆プロセス
 会社の営みは「老化との戦い」である
 会社にも「子供」「大人」「老人」がある

第2章 老化した会社の「止められない」症候群
 数の増殖は止められない
 細分化の流れは止められない

第3章 老化を加速させる大企業のジレンマ
 ブランド力を高めれば社員の依存心は増す
 組織化すれば付加価値が失われる

第4章 会社の老化がイノベーターを殺す
 多くはアンチイノベーターである
 老化すれば社内政治家が増える

第5章 何がパラダイムシフトを阻むのか
 会社はなぜか老化と世代交代を前提としていない
 負債化した「常識」が会社の変革を妨げる

第6章 組織の宿命をどう乗り越えるか
 無駄な抵抗はやめて運命を受け入れる
 不可逆プロセスを遅らせる方策をとる

あとがき 戦うイノベーターへ

内容

 会社は人間と同様、生まれた瞬間から老化の一途をたどり、決して若返ることはない。さらにいえば、会社の営みを一言で表現すれば、「老化との戦い」ということもできる。
 老化がはじまると、定例会議やルールが増え、スタンプラリー(承認印回覧)が始まる。
 見えない未来よりも、わかりやすいコストやリスクばかりが論じられる。
 折衷案と多数決で物事が決まり、アイデアと人材は凡庸化する。
 手段の目的化が進み、ルーチンワークがクリエイティブワークを駆逐する。
 社内評論家・社内政治家が増殖し、イノベーターが迫害される。
 長年にわたる会社の観察結果を基に、会社が持つ様々な不可逆性を説明し、老化への対処法を示す一冊。

心に残ったフレーズ

143ページ1行目
重要なのは個人か組織か
 「個人と組織」についての考え方にも両者の価値観の違いが如実に現れる。
 イノベーターは形式にこだわらないので、重要なのは「誰が頼できるか」であり、この価値観で仕事のパートナーを選ぶ。これに対して、形式や組織を重視するアンチイノベーターは「誰が担当か」を重要視する。
 具体的に例をあげよう。イノベーターにすれば、「信頼できないが組織上では担当になっている人」は「付き合うだけ時間の無駄」であり、その人物とのコミュニケーションをないがしろにする。一方で、実質的なキーパーソンと話を進めることになるが、ある日突然、形式上の担当者(アンチイノベーター)が「オレは聞いていない」と怒りだすことになる。この構図については第二章で述べたが、さらに詳細な分析をするとこうなる。
 イノベーターが重視するのは個人であり、会社<役職<個人となる。アンチイノベーターの価値観は正反対で、会社V役職>個人だから、「どの会社のどの役職の人か」が一番の関心事なのである。したがって、アンチイノベーターが最初から最後まで気にするのは「名刺の肩書き」であり、イノベーターが気にするのは「仕事の力量」である。

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