答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ
枝廣 淳子/イースト・プレス
こんなリーダーにおすすめ
・納得感を持って仕事をしたい
・不安に正面から向き合えない
・簡単に答えを決められない
ざっくり目次
はじめに 答えを急いではいけない時がある
ネガティブ・ケイパビリティ
「わかりたい」と思うのは仕方がない
第1章 ネガティブ・ケイパビリティとはそもそも何なのか
「しないでおく」能力
コンピュータやAI(人工知能)にはない能力
第2章 「わからない」という不安を受け容れる~2つのキーワードから
「散らすこと」
受け入れる「器」
第3章 判断を性急に下さない~ホールドとサスペンド~
「ホールディング」「場をホールドする」
第4章 ありたい自分に近づき、他人に寛容になり、物事の本質が見えるようになる
器の大きな人物、小さな人物
ネガティブ・ケイパビリティを高めると、こんな自分になれる!
第5章 ネガティブ・ケイパビリティを高める方法
意識する
日常生活の中で鍛える
第6章 「何もしない」ことの大切さ~人を育てる
子どもたちは生来ネガティブ・ケイパビリティの持ち主
ビジネスシーンにおける「人材育成」とネガティブ・ケイパビリティ
第7章 「わからない」と正しく向き合う~リーダーシップとチームや組織の中で
今日の状況
即時対応への圧力を減らす
第8章 共有ビジョンと“結論を出さないルール”の「場」~地域ぐるみでネガティブ・ケイパビリティを発揮する
問題の本日を探るには=まちの共有ビジョンをつくる
複雑に対立する意見を、未来を拓くものに変える
第9章 東洋思想の叡智とネガティブ・ケイパビリティ
おわりに 本当に大事なものを見落とさないために
内容
ネガティブ・ケイパビリティとは、何かを「しないでおく」能力のこと。不確実性を許容する高度な能力であり、真実に近づくために勇気を持って立ち止まることです。
ネガティブ・ケイパビリティが高まると、「ありたい自分」に近づくことができます。心の中の違和感と向き合うことで、納得度の高い人生が送れるようになるのです。
リーダーは自らネガティブ・ケイパビリティを発揮すべきです。組織風土にネガティブ・ケイパビリティが浸透すると、普段は効率的に仕事を進めながらも、不確かなことはじっくりと考えられる組織に成長します。
VUCAの時代にあって、より質の高い解決策を見出すために、あえていったん立ち止まり、物事の本質を見極めることの大切さ。そのネガティブ・ケイパビリティの基本的なエッセンスの解説から、その高め方、具体的事例までをトータルで理解できます。
心に残ったフレーズ
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だとえば、ふっと「今のままの人生で良いのかなぁ?」とモヤモヤする気持ちが出てきたとします。「自分の人生はこれでよかったのか」、「残りの人生、どのように生きていったら良いのか」というのは、後悔のない自分らしい人生を送るためには、本質的な問いで、あとでも紹介しますが、私が開催しているセミナー「自分合宿」でもよく出てくる問いです。
でも、そこでその問いに正面から向きあうと、これまでの自分(の一部)を否定しなくてはならないかもしれない。これまでどおりを続けられなくなるかもしれない。よくわからない新しい世界に入っていかなくてはならないかもしれない・・・・・・・。
自分のモヤモヤに向きあうということは面倒なことでもあり、恐いことでもあります。モヤモヤ自体はっきりしているわけではなく、明確な解があるわけでもありません(だからモヤモヤするのですよね!)。
そこで、多くの場合、うすうす「このままではいけない」と感じつつも、「今はそれどころじゃない。さ、仕事しなきゃ」と日常の忙しさに気を紛らわせたり、「いや、自分はこの人生で良いのだ、これまでこんなにいいことがあったじゃないか」と自分を説得さぜようといういろな説明を考えたりします。時には何かの本で読んだ耳当たりのいい言葉や、誰かのもっともらしい発言に飛びつき、答えを見つけたかのような気分に逃避することもあります。モヤモヤにフタをするのです。モヤモヤがなかったことにするのです。