第5回:目的に立ち返る習慣──「なぜやるのか?」を問い直す文化をつくる

会議やプロジェクトが進むにつれ、「あれ?そもそもなんでこれをやっているんだっけ?」という感覚になることはありませんか?
忙しい現場では、“やること”が増えるほど、“なぜやるのか”という本来の目的を忘れがちです。しかし、目的を見失った組織活動は、迷走や空回りの原因になります。
今回は、そんな「目的を見失わない組織」になるための、目的に立ち返る習慣づくりについて考えていきます。
「目的」がブレると、何が起きるのか?
目的を忘れて行動していると、こんなことが起こります:
- 毎週の会議が形骸化し、「何のために集まっているのか分からない」
- プロジェクトが途中で方向転換し、メンバーの混乱や疲弊が起きる
- 成果を出しても、「それって意味あるの?」と疑問が残る
つまり、行動と目的がずれてしまうのです。
目的に立ち返るとは、「問い直し」を日常にすること
目的に立ち返るとは、特別なワークをすることではなく、日常の中で「これは何のため?」と問い直すことです。
たとえば:
- 「この会議の目的は何だっけ?」を会議冒頭に確認する
- 「この資料って、誰に・何を伝えるため?」と整理してから作る
- 「この作業は、全体
- の目的にどうつながるか?」をチームで考える
こうした“ちょっとした問い直し”が、チームの行動と目的のズレを防いでくれます。
目的を見える化する3つの工夫
目的を「立ち返れる」状態にするためには、可視化と共有がカギになります。
① 書いて、貼っておく
- 会議のアジェンダの一番上に「この会議の目的」を書く
- プロジェクトボードに「ゴールと目的」を明記しておく
- チームルームに「今期の重点目的」を掲示する
いつでも見られる場所にあることで、自然と立ち返るきっかけが生まれます。
② 定期的に問い直すタイミングをつくる
- 月初のキックオフで「今月の目的と達成イメージ」を共有
- 振り返り(リフレクション)の中で「目的とズレはなかったか?」を確認
- 定例会議で「この取り組みのゴールは変わっていないか?」を点検
目的は変化することもあるからこそ、“見直す余白”が必要です。
③ 「目的の言語」を揃える
- 目的を誰もが言えるよう、短くシンプルにまとめる(例:「顧客満足の向上」など)
- メンバー間でズレがあったら、言い直す・再定義することを恐れない
- 目的を説明できるようになると、判断や行動のブレが減ります
チームで「目的を話す場」をどうつくるか?
目的を「知っている」だけではなく、チームで“話し合える”ことが重要です。以下のような小さな仕掛けが有効です。
- 毎週の冒頭に「目的確認タイム」(1分でもOK)をつくる
- 新メンバーが入ったタイミングで、「私たちの目的」を言語化して共有する
- 意見が割れたときには「そもそも、目的って何でしたっけ?」と立ち返るクセをつける
これらを通して、「目的ってなんだっけ?」をチーム全体で考える文化が育ちます。
まとめ:「目的に立ち返る」は、組織を支える日常の筋トレ
目的は、一度決めたら終わりではありません。むしろ、何度も立ち返って、確認し続けるものです。
この「問い直す習慣」があるチームは、変化にも強く、目的の軸をぶらさずに動くことができます。