残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

中原淳+パーソル総合研究所/光文社

こんなリーダーにおすすめ

・働き方を見直したい
・長時間労働を改善したい
・生産性をアップを浸透させたい

ざっくり目次

はじめに

オリエンテーション ようこそ! 「残業学」講義へ

「働く人」=「長時間労働が可能な人」でいいのか
ウザすぎる! 残業武勇伝
残業が個人にもたらすリスク
残業が企業にもたらすリスク

コラム①ここが違うよ! 昭和の残業と平成の残業

第1講 残業のメリットを貪りつくした日本社会
「日本の残業」はいつから始まったのか?
底なし残業の裏にある2つの「無限」
「残業文化」にはメリットがあった

第2講 あなたの業界の「残業の実態」が見えてくる
1位が運輸、2位が建設、3位が情報通信
明らかになった「サービス残業」の実態

コラム②「日本人は勤勉」説は本当か?

第3講 残業麻痺――残業に「幸福」を感じる人たち
「月80時間以上残業する人」のリアルな生活
ただの「達成感」を「成長実感」にすりかえるな
「努力」を「成長」と結びつける日本人

コラム③ 「男は育児より仕事」は本当か?

第4講 残業は、「集中」し、「感染」し、「遺伝」する
残業は「集中」する
「できる部下に仕事を割り振る」は悪いことか?
上司はつらいよ、課長はもっとつらいよ
残業は「遺伝」する

第5講 「残業代」がゼロでも生活できますか?
生活のための「残業代」
残業代が減ると、損をしたような気持ちになる
解き明かされた残業発生のメカニズム
日本全体で残業を「組織学習」してきた

第6講 働き方改革は、なぜ「効かない」のか?
企業の「働き方改革」は本当に効果が出ているのか?
残業施策の失敗による職場のブラック化への道
施策失敗の「3つの落とし穴」

第7講 鍵は、「見える化」と「残業代還元」
「外科手術」の4ステップ
ステップ1 残業時間を「見える化」する
ステップ2 「コミットメント」を高める
ステップ3 「死の谷」を乗り越える
ステップ4 効果を「見える化」し、残業代を「還元」する

第8講 組織の生産性を根本から高める
「外科手術」の限界
マネジメントの変革編1 「罰ゲーム化」したマネジャーを救え!
組織ぐるみの改革編1 「残業の組織学習」を解除する「3つの透明性」

コラム④ 「やりっぱなし従業員調査」はなぜ生まれるのか
コラム⑤ 会議のムダはどれだけあるのか?

最終講 働くあなたの人生に「希望」を
残業と日本の未来
「成果」の定義を変える――「努力+ 成果」から「時間あたり成果」へ
「成長」の定義を変える――「経験の量」から「経験の質」へ
「会社」の定義を変える――「ムラ」から「チーム」へ
「ライフ」の定義を変える――「仕事との対立」から「仕事との共栄」へ

おわりに
本書の調査概要

内容

超高齢化社会を迎え、あらゆる仕組みをアップデートする必要に迫られている日本。女性やシニア、外国人をはじめとした多様な人々の力が鍵となる中、それを拒む最大の障壁が、日本独特の働き方「残業」です。

政府も企業も「働き方改革」を叫ぶ今、本当に必要なのはそれぞれの「持論」ではなく、客観的なデータを基にした「ガチ」な対話。

一体なぜ、日本人は長時間労働をしているのか? 歴史、習慣、システム、働く人の思い――2万人を超える調査データを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明しています。

心に残ったフレーズ

48ページ9行目
 くどいようですが、はっきりと言えることは、このまま働く人が減っていくと、日本経済が縮小していくだけでなく、いろいろな意味で「不便な世の中」になるということです。そうした中で、残業を減らし、長時間労働を是正していくことは、中長期的に「働く人」を増やし、暮らしやすい世の中を作っていくこと、つまり個人、企業、社会にまたがる「希望」につながっていくのではないか。私はそう考えています。
 「希望学」を提唱する東京大学の玄田有史数授らの調査によると、日本人の「希望(幸せ)」を規定するものの中で割合が最も高かったのは「仕事」です。
 どれだけ年齢を重ねても、育児や介護などを経由しても、気持ちよく仕事をし続けられる働き方を見つけることができれば、それは多くの人にとって「希望」になると言えます。世界に先駆けて高齢社会に突入する日本がそうした「希望」を示すことができれば、ひいては、世界の未来全体へ向けた、より大きな「希望」になるかもしれません。

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