困難な組織を動かす人はどこが違うのか? POSITIVE LEADERSHIP
キム・キャメロン/高橋 由紀子(訳)/日本経済新聞出版
こんなリーダーにおすすめ
・ポジティブな人間関係をつくりたい
・企業風土をポジティブにしたい
・ポジティブリーダーシップを実践したい
ざっくり目次
はじめに
第1章 ポジティブリーダーシップとはなにか?
ポジティブリーダーシップに向けられる批判と懸念
「ポジティブ」がもたらす効果とエビデンス
ポジティブリーダーシップ戦略とは?
第2章 戦略1 ポジティブな組織風土
ネガティブ感情から見えてくるもの
ポジティブな組織風土の例――シノバス銀行
どうやってポジティブな組織風土を作り上げるか
第3章 戦略2 ポジティブな人間関係
よき人間関係がもたらすもの
どうやってポジティブな人間関係を作り出すか
強みにフォーカスする
第4章 戦略3 ポジティブなコミュニケーション
どうやってポジティブなコミュニケーションを生み出すか
ベストな自己フィードバック――強みに注目する
サポーティブコミュニケーションを駆使する
第5章 戦略4 ポジティブな意味づけ
仕事を勤めと捉えるか、天職と捉えるか
どうやって仕事にポジティブな意味を持たせるか
第6章 4つのポジティブ戦略の実践
PMIプログラムの実施に必要なこと
PMI導入に反対されたら
第7章 ポジティブリーダーシップを発展させる
ポジティブリーダーシップ5つの法則
状況に応じたポジティブリーダーシップ戦略を探る
ステップ1――現行のやり方を診断する
ステップ2――実行計画を立てる
内容
ポジティブリーダーシップとは、ミシガン大学教授の著者キャメロンによれば、普通ではない並外れた効果、結果を達成するマネジメントのこと。
本書では絶対に実現できないと思われた巨大な核施設の整理、経営陣の交代で混乱した病院、M&A後の異なる組織の融合など、難題を抱える組織やプロジェクトをかじ取りし、卓越した結果につなげた事例や組織行動学、医学、心理学の幅広い研究を引用しながら、それらの共通項を4つの「ポジティブリーダーシップ」戦略としてまとめてあります。
キャメロン教授は、あえて枠組みを超えるような「ポジティブな逸脱」を認めるリーダーと「肯定的なエネルギーを出し続ける人=ポジティブエネジャイザー」の組み合わせが難題解決に有効とする。
そのうえで、並外れた成功のためには、リーダーは「弱点よりも強みを強調すること」「思いやり、感謝、許しなどの徳のある行動を育むこと」「達成目標に加えて貢献目標を奨励すること」「仕事に意味を持たせること」が必要と説きます。
心に残ったフレーズ
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この本を書いている今現在、リーダーシップに関する本は7万冊以上存在する。このうえ、なぜまたそういう本を書こうとするのだろうか。
その理由は、こうしたリーダーシップ本の大半が、著名なリーダーが語る自身の経験、人々の意見の中から都合のよい事例を抜き出したもの、心に響く実例の物語などをもとに書かれたものだからだ。本書の内容はそれらとは違い、すべて実証的研究によって裏づけられた方法に則っている。ここで示すのは、社会科学研究から生まれたリーダーシップの実用的なアプローチだ。これらはまだあまり一般的ではないので、リーダーシップの効果を劇的に改善したいと考えている読者のために、画期的でしかも実際的な戦略を提供したいと思う。
本書では「ポジティブリーダーシップ」という概念を紹介する。この手法によって、リーダーは、並外れた業績達成を可能にし、組織内にポジティブな傾向を促し、美徳や善を重視する組織文化を生み出すことができる。ポジティブリーダーシップは、近来のポジティブ識師、ポジティブ心理常、ポジティブ変革の研究分野から生まれたポジティブの原理を応用している。これによって、「もっとポジティブなリーダーになるにはどうすればいいか」という問いに答えが見つかるだろう。