組織が変わる                

宇田川 元一/ダイヤモンド社

こんな悩みを持つリーダーにおすすめ・なんとなく職場に活気がない

  • なんとなく職場に活気がない
  • みんなが閉塞感を持っているようだ
  • 組織を変えたいがどこから手をつけてよいかわからない

ざっくり目次

はじめに
 抜本的な変革は本当に必要か?

第1章 組織で対話が必要な理由
 1.正体不明の組織の閉塞感は、何が原因なのか
 2.誰かすごいリーダーがきて、組織を変えてくれるのか
 3.組織の慢性疾患を改善する方法論「対話」とは
   組織の慢性疾患を発見する対話
   あのトヨタが「マインドレスな組織」に陥った5つの理由

第2章 組織が抱える慢性疾患へのアプローチ
 1.そもそも組織の慢性疾患とは何か
   慢性疾患にはセルフケアが欠かせない
 2.組織の慢性疾患「6つ」の特徴
   ゆっくり悪化する
   原因があいまいで特定できない
 3.組織の慢性疾患への4つの対処方法
   危機感はうまれにくいことを自覚する
   セルフケアのための対話を心がける
 4.慢性疾患へアプローチする際の注意点
   組織の慢性疾患のポジティブな意味とは
  「心理的安全性」の罠

第3章 対話とは何か
 1.そもそも対話とは何か
   対話に必要な4つのステップ
 2.対話の3つのスタンス
   対話は「ナラティブ」を変容させる実践
   自分も問題の一部かもしれない
 3.対話とは、わかり合うことを目指すものではない
   対話はわかり合うことが目的ではない理由
 4.対話を通じて、もっとよい助け方を身につける
   問題は責任感の欠如ではない
   同じような悩みを抱える話し相手を見つける
   「なぜ(why)」と問わない理由
 5.対話の過程で生じることに向き合うと見えてくるもの
   マネジャーがトップの悩みを想像してみると・・・
  「同じ方向を向くことが大切だ」に反論する

第4章 新しい対話の方法「2 on 2」とは何か
 1.2 on 2は対話モードで問題に向き合うための方法論
 2.2 on 2は4人1組で行う
 3.2 on 2を実際にやると、どうなる

第5章 2 on 2の何が効果的か
 (2 on 2の体験者に聞く)
  言語化できないモヤモヤの正体が、形になって現れる
 (2 on 2の 共同開発者に聞く)
  組織の見えない問題があぶり出される画期的な方法
  体験者と共同開発者インタビューで見えてきたこと
  1 on 1と2 on 2の違い

第6章 2 on 2を実施する際にやってはいけない6つのこと
 1.2 on 2を実施する理由が共有されていない
 2.すぐに問題解決策を言ってはいけない
 3.全部周りのせい、他人のせいにしない
 4.きれいに終わらせようとしない
 5.周りの人たちは自分の話を始めない
 6.目新しいだけで始めない

第7章 なぜ、2 on 2を開発したのか
 1.対話を組織の中でどう実践していくか
 2.2 on 2を設計するうえで重視したこと
 3.2 on 2が誕生した理論的背景

終章 組織が変わるとはどういうことか
 1.組織は物語でできている
 2.その組織の物語はどう変わるか
 3.小さくとも一歩を踏み出す

おわりに

内容

おもに企業で働くミドル・マネジャーを想定して書かれた本書。

この本では、組織における行き詰まった状況を「組織の慢性疾患」、その状況と自身の関わりに気づき、慢性疾患に一歩ずつ取り組み続けるプロセスを「セルフケア(自分自身をケアすること)」と捉え、膠着した状況を動かすヒントをつかむ「2 on 2」という対話の方法が紹介されている。

筆者は、組織が変わるとは、あなた自身のみならず、、周りのメンバーが見えている組織の風景が変わること、組織の中の様々な出来事の意味が変わることと指摘する。

Good Point

組織を変える必要がある。そのためには対話が必要だ。おそらくどのリーダーでも自覚していることだと思います。

ところが、組織のなかに一向に対話が生まれず、組織も変わらない。するとさらにリーダーは組織を変え、対話を生まなければという脅迫観念を持つようになる。組織を変えること、組織に対話を生むことは、実はとても地道な積み重ねが不可欠なのです。

「やるか」「やらないか」。「やり続けることができるか」。組織を元気にするには「対話」の実践しか処方箋はないと、覚悟させてくれる本です。

心に残ったフレーズ

140ページ1行目
 異なるナラティブを生きていいる人々が組織の中にはたくさんいる。その違いから見えてくる異なる解釈の断片を組み合わせ。新たなナラティブを生み出していく。これが対話の中で起きていることです。
 ある意味。これは物語の「伏線の回収」です。よい物語には、必ずうまい伏線がありますが、「ああ、こういうことだったのか!」とどんでん返しと伏線が合致したとき。ぐっと物語に惹きつけられます。
 対話の過程とは、様々な人たちが見ている現実が組み合わさることで、「ああ、あの発言はこういう意味だったんだ!」「あの出来事って、この観点から考えると、最初は嫌だったけれど、すごく大事な出来事だったね」という違う視点が見えてくるのです。
 これが、新たなナラティブが生まれた瞬間なのです。

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