組織は腐る
「組織は腐る」とは、組織の健全性が失われている状態のことです。倫理的、法的、あるいは効率的な観点から見て、望ましくない行動や慣行が組織内で蔓延することが要因です。
1.組織の不健全な状態が生じる背景
組織の健全性が失われる理由はさまざまです。
1-1 倫理的な欠陥
組織が倫理的な原則や価値観を軽視し、個人的な利益や欲望を優先するリーダーシップやメンバーが存在する場合、不健全な状態が生じる可能性が高まります。
1-2 権力の乱用
権力を持つ人々がその権力を誤用したり乱用したりすることで、不健全な状態が生じることがあります。組織内での権力の集中や権限の不適切な行使が問題となることがあります。
1-3 文化と風土
組織文化や風土が問題を放置する傾向や不健全な行動を奨励するようなものである場合、その組織は不健全な状態に陥りやすくなります。
1-4 競争と圧力
組織が激しい競争環境に置かれている場合、成果を追求するあまり倫理的な制約を無視することがあるかもしれません。業績の圧力や目標達成の焦りが不健全な行動を引き起こす可能性があります。
1-5 監督の不足
適切な監督やコントロールが欠如していると、不正や腐敗が隠蔽されたり放置されたりする可能性が高まります。透明性が不足する状況では、問題の早期発見が難しくなります。
1-6 組織の急成長
急速な成長や変化は組織内部のプロセスや文化を適切に維持するのが難しくなることがあります。組織が急成長する過程で、不健全な慣行が根付くことがあるかもしれません。
1-7 個人の行動と意識
組織は個人の行動や意識の集合体であり、メンバーやリーダーの行動が組織全体の健全性に影響を与えます。個人が不健全な行動を取ることで、組織全体が影響を受ける可能性があります。
これらの要因が組み合わさることで、組織の不健全な状態が生じる可能性が高まります。組織はこれらの要因に対処するために、倫理的なガイドラインの確立やコンプライアンスの強化、透明性の促進、リーダーシップの育成などの取り組みを行うことが重要です。
不健全を放置すると…
組織の不健全を放置していると以下のような徴候が現れます。組織は早急に対処策を検討し、透明性を確保し、倫理的な慣行を強化するなどの措置を取ることが重要です。
2-1 リーダーシップの不透明性
組織の指導者が意思決定の理由やプロセスを説明せず、情報を隠蔽する傾向がある場合。
2-2 報告書の改ざんや不正
会計報告書や書類が改ざんされたり、不正な取引が行われている兆候がある場合。
2-3 労働環境の悪化
職場いじめ、セクシャルハラスメント、差別などの問題が増加している場合。
2-4 人事や昇進の公平性の欠如
個人的なつながりや贈り物によって人事や昇進が行われている場合。
2-5 報奨や賞与の不透明な配分
報奨金やボーナスが公平に配分されず、特定の人物に偏っている場合。
2-6 告発者の報復
問題を指摘したり告発した人が報復を受ける、あるいは沈黙を強制される場合。
2-7 利益相反の問題
組織の関係者が個人的な利益を追求するために組織の利益を犠牲にしている場合。
2-8 コンプライアンスの無視
法律や規制への適合が怠られており、ルールを無視する傾向がある場合。
2-9 不正行為の告発が多発
従業員や関係者から不正行為についての告発や報告が多数寄せられている場合。
2-10 組織文化の変化
協力的な文化から、権力志向や個人主義的な文化への変化が見られる場合。
まとめ
組織は腐る、ということは、組織が本来の健全な状態から逸脱し、倫理的でない行動や慣行が広まる現象です。この現象はさまざまな要因から生じます。倫理的な欠陥、権力の乱用、文化や風土、競争と圧力、監督の不足、組織の急成長、個人の行動と意識、これらが組み合わさって不健全な状態が生じます。
不健全を放置すると、組織はますます腐敗し、徴候が顕在化します。リーダーシップの不透明性、報告書の改ざん、労働環境の悪化、人事や昇進の公平性の欠如、報奨や賞与の不透明な配分、告発者の報復、利益相反の問題、コンプライアンスの無視、不正行為の告発が多発、組織文化の変化などが現れます。
組織はこれらの問題に対処するために、倫理的なガイドラインの確立、透明性の促進、リーダーシップの育成などの取り組みを行う必要があります。組織の健全性は全てのメンバーによって維持されます。私たち一人一人が倫理的で責任ある行動を取ることが、組織の腐敗を防ぐ鍵です。
〈リンク〉
Good Team Relationsのリーダーシップ開発
経済産業省 コーポレートガバナンスに関する各種ガイドラインについて