第8回 話し合いを変える「対話」の力

─ 会議ではなく“対話”で組織を動かす ─

こんにちは。組織開発初心者の方に向けたこの連載、今回は「対話の力」をテーマにお届けします。

「ちゃんと話し合ってるのに、なぜかすれ違ってしまう」
「会議をしても、いつも同じ人しか話さない」
そんな経験はありませんか?

実は、話し合っている“つもり”になっていて、本当の対話になっていないことが多いのです。
今回は、「会議」と「対話」の違いを明らかにしながら、対話的な場づくりのヒントを紹介します。

会議と対話は、まったく別のもの

私たちが普段よく開いている「会議」。
でも、その多くは「情報共有」や「意思決定」の場にとどまっており、人と人が向き合う“対話”にはなっていないことが少なくありません。

      会議対話
目的決める・共有する理解する・気づきを得る
ゴール結論や結論の合意視点の広がり・相互理解の深化
進め方議題・時間に沿って効率的に進行流れを大事にしながら、じっくり探求
話し方・聞き方要点を簡潔に・効率的に感じていること・思っていることも含めて表現

つまり、対話は「意見」だけでなく「背景」や「感情」も含めて共有しあうプロセスなのです。

なぜ、対話が組織開発に必要なのか?

組織開発では、「人と人の関係性」が変化の出発点になります。
そのためには、表面的な会話ではなく、**お互いの価値観・経験・想いに触れる“対話”**が必要です。

  • 価値観の違いに気づき、受け止める
  • 「なぜそう考えるのか?」という背景を知る
  • 「どんな未来を望んでいるのか?」を言葉にする

こうした深い話し合いが、信頼関係の土台をつくり、チームの変化を支える力になります。

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対話的な場づくりのヒント

初心者でも実践できる「対話の場」をつくるためのヒントを3つご紹介します。

① 話すより「聴く」を大切にする

相手を理解しようとする姿勢が、安心感を生みます。
うなずき・相づち・目を見て聴くことなど、基本的なことほど効果的です。

② 「正解を出す場」ではなく「考える場」にする

対話の目的は、答えを出すことではなく、考えを広げること。
「今、どう感じていますか?」「なぜそう思ったんですか?」など、答えのない問いを大切に。

③ 小さくても「本音」を出す

全員がいきなり深い話をするのは難しいもの。
まずは自分から「ちょっと思っていたこと」を出してみると、場が変わり始めます。

ファシリテーター初心者ができること

「自分がファシリテーターなんて無理!」と思うかもしれませんが、対話の場を支える役割は誰でも担えます
初心者向けのシンプルな工夫を3つ紹介します。

● 目的と安心感を最初に伝える

「この場は、意見の正しさを問うのではなく、お互いを理解するための時間です」と一言添えるだけで、空気が変わります。

● 話す順番をつくる

「全員に一言ずつ」など、話す順番を決めておくと、話しやすくなります。

● 書く+話すを組み合わせる

「付箋に書いてから話す」「3分間メモしてから共有する」など、話す前に考える時間を設けると安心して発言できます。

まとめ:対話が変わると、関係が変わる

会議を「効率的に運営する場」から、「お互いを理解し合う場」へと変えていくことで、組織の空気はゆっくりと変化しはじめます。
話し合いを「対話」に変える力は、特別なスキルではなく、少しの意識と工夫で誰でも始められる実践です。

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