「チームをまとめる」はリーダーの仕事ではない

リーダーになったばかりの人が最初に抱く悩みのひとつ。
それは「どうすればチームをまとめられるか?」ということです。

でも、ちょっと待ってください。
「チームをまとめる」という考え方そのものが、もう古いのかもしれません。

今の時代に求められているのは、“まとめる”リーダーではなく、“つなぐ”リーダー
リーダーが「全員を同じ方向に揃える」ことよりも、「違う考えをつなぎ合わせてチームとして機能させる」ことが大切になっています。


■ 「まとめよう」とするほど、うまくいかない

たとえば、チームに次のようなメンバーがいるとします。

  • 積極的に意見を言う人
  • 周囲を見てから動く人
  • 細部にこだわる人
  • アイデアは豊富だが行動は遅い人

リーダーが「みんなをまとめなきゃ」と考えると、つい「全員が同じ意見になるように」話を整理しようとします。
しかし、これは多様性を“均一化”してしまう危険なアプローチです。

意見が揃った瞬間に、チームから“考える力”や“異なる視点”が失われていく。
つまり、「まとめよう」とするほど、チームは静かになっていくのです。


■ チームは「まとめる」より「つなぐ」

リーダーの仕事は、バラバラな個性や意見を「つなぐ」ことです。
つなぐとは、違いを消すことではなく、違いが共に存在できるようにすること。

たとえば、

  • 議論がぶつかりそうなときに「どちらも大事な視点ですね」と橋をかける。
  • 黙っているメンバーに「今、どう感じてる?」と声をかける。
  • 意見が違っても、共通の目的を確認して再び対話に戻す。

このように、リーダーが“つなぎ役”として動くと、チームの中に自然と対話が生まれます。
対話が増えると、信頼が深まり、結果的にチームはまとまって見えるようになるのです。


■ 「まとめるリーダー」から「場をつくるリーダー」へ

現代のチームに必要なのは、**「方向を示すリーダー」よりも「場をつくるリーダー」**です。

“場をつくる”とは、メンバーが自由に意見を言え、安心して異なる考えを出し合える空気を整えること。
つまり、心理的安全性を高めることです。

リーダーはチームをまとめるのではなく、

  • 対話の場を設計し、
  • 関係性を整え、
  • メンバー同士をつなぐ。

その結果として、チームは「まとまる」のです。
リーダーが“まとめよう”としなくても。


■ チームを「まとめよう」と思ったときに試したい3つの問い

もしあなたが「チームをまとめたい」と感じたときは、次の3つの問いを立ててみてください。

  1. いま、チームがバラバラに見えるのはなぜだろう?
     ——意見が違うから?それとも目的が見えていないから?
  2. 自分が“まとめよう”として、誰かの声を消していないだろうか?
     ——リーダー自身が調和を焦っていないか。
  3. この違いを活かすには、どんな対話が必要だろう?
     ——違いを埋めるより、活かす方向に発想を転換する。

この3つの問いは、チームの“静寂”を“対話”へと変えていく小さなスイッチになります。


■ まとめ

「チームをまとめる」は、リーダーが一人で背負う仕事ではありません。
チームをまとめようとするほど、メンバーの多様性は失われます。

リーダーが“つなぎ役”となり、違いを活かす場をつくることで、
チームは自然とまとまり、動き出していきます。

つまり、リーダーの役割とは、
「まとめること」ではなく、「つながる場をデザインすること」なのです。


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