失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
マシュー・サイド (著)、有枝 春 (翻訳)/ディスカヴァー・トゥエンティワン
こんな悩みを持つリーダーにおすすめ
・勇気がほしい
・自由に意見が言えるチームにしたい
・チームにマンネリ感が漂っている
ざつくり目次
第1章 失敗のマネジメント
1 「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
2 「完璧な集中」こそが事故を招く
3 すべては「仮説」にすぎない
第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
4 その「努力」が判断を鈍らせる
5 過去は「事後的」に編集される
第3章「単純化の罠」から脱出せよ
6 考えるな、間違えろ
7 「物語」が人を欺く
第4章 難問はまず切り刻め
8 「一発逆転」より「百発逆転」
第5章「犯人探し」バイアス
9 脳に組み込まれた「非難」のプログラム
10 「魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった
第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
11 誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる
終章 失敗と人類の進化
12 失敗は「厄災」ではない
エピローグ
内容
なぜ、「10人に1人が医療ミス」の実態は改善されないのか?
どうして、燃料切れで墜落したパイロットは警告を「無視」したのか?
なぜ、検察はDNA鑑定で無実でも「有罪」と言い張るのか?
誰もがみな本能的に失敗を遠ざけます。だからこそ、失敗から積極的に学ぶごくわずかな人と組織だけが「究極のパフォーマンス」を発揮できるのです。
オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツチームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かします。
Good Point
失敗から学ばず、失敗を隠す文化が定着している医療業界と、失敗をオープンにし、失敗から学ぶ組織である航空業界の対比が心を揺さぶります。
また、時間をかけて計画を立て製品のクオリティを高めてからリリースするよりも、クオリティが低い段階からリリースしユーザからのフィードバックをえて改良していく方が成功につながるという比較も説得力があります。
この本の最大の良さは、失敗することで得られるフィードバックや気づきこそが成長の種だと実感できることです。
心に残ったフレーズ
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何かミスが起こったときに、「担当者の不注意だ!」「怠慢だ!」と真っ先に避難が始まる環境では、誰でも失敗を隠したくなる。しかし、もし「失敗は学習のチャンス」ととらえる組織文化が根付いていれば、非難よりもまず、何か起こったのかを詳しく調査しようという意思が働くだろう。
適切な調査を行えば、ふたつのチャンスがもたらされる。ひとつは貴重な学習のチャンス。失敗から学んで潜在的な問題を解決できれば、組織の進化につながる。もうひとつは、オープンな組織文化を構築するチャンス。ミスを犯しても不当に避難されなければ、当事者は自分の偶発的なミスや、それにかかわる重要な情報を進んで報告するようになる。するとさらに進化の勢いは増していく。