右脳思考

内田和成 (著)/ 東洋経済新報社

こんなリーダーにおすすめ

・マンネリ感かた脱したい
・新たな発想で業務を見直したい
・もっと創造的な職場にしたい

ざっくり目次

はじめに

第1章 右脳を使うことが重要な理由
  1 ロジカルシンキングの落とし穴
  2 成功している経営者は「思いつき」で動く
  3 ビジネスにおいても勘が重要 
  4 人を動かすのは感情

第2章 右脳の使い方
  1 仕事は3つのステージで成り立つ
  2 右脳と左脳をどう使い分けるか 
  3 個別の問題ではなく問題全体を捉える
  4 意思決定の最後の決め手は勘
  5 会議・議論のマネジメントに使う
  6 変革の必要性を訴えるとき
  7 なかなか実行されない場合はどうする?
  8 右脳と左脳のサンドイッチ構造

第3章 右脳で考え、左脳でロジカルチェック
  1 まずは好き嫌い・直感を大切にするのが第一歩
  2 思いつきを戦略に落とし込む
  3 右脳を左脳でサポートするための方法論

第4章 左脳で考えたロジックフローを右脳で肉づけ
  1 心の底から納得する「腹落ち」の重要性
  2 ロジックフローに魂を入れる
  3 人を動かすのはこの4つの要素
  4 右脳と左脳がキャッチボールする

第5章 右脳「力」を鍛える
  1 ビジネスで使う「勘」を鍛える
  2 プライベートのやり方を仕事に活かす 
  3 「観・感・勘」インプットに使う
  4 感度を高めればいつもと違う情報が入ってくる
  5 アウトプットの最終目標〝腹落ち〟
  6 経験を積むことで、勘が磨かれる 

第6章 ロジカルシンキングより直感を信じてみよう
  1 まず左脳を忘れて、右脳で仕事しよう
  2 あなたは左脳型か右脳型か
  3 大事な分野を見定めて、勘を鍛える
  4 組織で期待される役割を知る
  5 不等号を逆にすれば進歩や学習が生まれる 

おわりに

内容

仕事では勘や感覚(右脳)よりもロジック(左脳)が大事と言われるが、本当にそうだろうか。

著者が仕事を通じて学んだのは、優れた経営者は経験や直感を大切にしているということ。大改革を成し遂げた経営者、ユニークな戦略で自社を飛躍させた経営者に、「なぜ、そのような意思決定をしたのか」と尋ねると、「勘です」とか、「答えは誰もわからない、やってみるしかない」という回答をもらうことが多い。
「優秀なコンサルタントもいきなりフレームワークから持ち出さない」とも述べる。左脳的に分析を始めたり、プレゼンテーションをするのはあまりお勧めできない。

本書で伝えたいのは、ロジカルシンキングの否定ではない。ロジックに加え、感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める、あるいは、成果をあげられるということ。
「勘や感覚よりもロジックが大事」というのはビジネスの常識。だが、本書はこの常識に挑戦する。

心に残ったフレーズ

32ページ4行目
 たとえば、新しいリーダーが自分の部署にやってきたとしよう。これまでのやり方を変更して、改革をすることに決めて、実際に公式にアナウンスもし、プランを発動したとしよう。ところが、実際に進めてみると了解しているはずのメンバーが思うように動いてくれない。あろいは、逆に抵抗勢力となってしまう。
 こうした現象は、組織論では組織に働いている慣性の力が実行を押しとどめるとか、実行における障害を取り除く方法が不十分であるとか解説される。しかし、私に言わせれば、要は本心ではやりたくないのである。人間誰しも、いままで慣れ親しんできたやり方から新しいやり方に移るのに心理的抵抗がある。改革を面白いと思う気持ちや新しいことを試してみようという前向きの気持ちより、不安が先に出てしまうのである。
 したがって、そうした心理状態のメンバーや担当者にいくらロジックで改革の必要性を良いても、なかなかやる気のスイッチが入らない。この場合も、相手の心理面まで入り込んで、何が障害となっているのかを理解した上で、先に進む方法を考えないといけないのである。
 心の底から納得していない案は、計画発表され実行に移されたときに、かろうじて存在するやる気が続く間にしか推進されない。それでうまくいけば儲けものであるが、実際には途中で当初の予定通りいかないことが必ず出てくる。そのときに、多くのプロジェクトや改革が遅延したり、骨抜きになったり、頓挫したりする。
 結局、人間を動かすのはそれが正しいか、間違っているか、あるいはやるべきかどうかという理屈、すなわちロジックではない。やりたいとか、面白そうとか、やらないとまずいなといった気持ち、すなわち感情である。「これを相手にしないといけないのは面倒くさいな」と思ったあなた、実はあなたも感情が先に立っていることを理解しないといけない。

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