共に働くことの意味を問い直す 現場の現象学入門
山口 一郎(監修)露木 恵美子(編著)柳田 正芳(編集) /白桃書房
こんなリーダーにおすすめ
・リーダーシップについて探求したい
・職場全体の士気を高めたい
・さまざまなアイデアが生まれる職場にしたい
ざっくりも目次
はじめに
第1章 悩める職場のコミュニケーション
1 管理することが目的化した社会
2 オンライン常態化した職場で起こっていること
3 管理会社のメンタリティ
第2章 職「場」とは何か?
1 場とは何か?
2 職「場」の構造
3 職場のモデルで事例を解釈する
4 日本社会の人間関係
第3章 なぜ、いま「現象学」なのか?「現象学」とは何か?
1 現象学とは何か?
2 意識と無意識の働き(志向性と志向分析)
3 現象学の方法
4 時間意識と共感
第4章 職場から生まれる創造性
1 創造的な職場にとって多様性が必要な理由
2 創造的な職場において「心理的安全性」が重要な理由
3 変革の時代のリーダーとリーダーシップ
4 場のリーダーシップ
5 創造的な職場はどうすればできるのか?
6 共創する職場
7 創造的な職場の実現に向けての五つの要点
事例
コラム
あとがき
内容
本書は『職場の現象学』の入門として企画された姉妹書です。
職場は「人と人の関係性」によって成り立っているのに、職場でやりとりされている、言葉に表現できない情動(感情や感覚)的コミュニケーションは、あまり重要視されてきませんでした。そこに焦点をあてた本書は、新型コロナ禍でのリモートワークやオンライン会議が日常化するなかで出てきた、職場におけるコミュニケーションや創造的な場づくりに対する新たな問いに対して、より具体的で身近な事例を用いて解説しています。
なお、現象学は、哲学だけでなく、人文科学や社会科学においても応用される学問分野となっています。現代の社会において、人間と物事との関係性を深く理解するための手段として、現象学が注目されています。
心に残ったフレーズ
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「創造的な職場をつくりましょう」「イノベーションをおこしましょう」と謳う企業は多いですが、「創造性は何から生まれるか」ということへの理解も深い考えもなく、すべてのメンバーが最大限働くようにコントロールしようという発想のもとで、行きすぎた管理が行われていることが創造性を阻害している、というのが多くの組織で見られる現象です。管理の手法はたくさん開発されていますが、創造性を開発するための方策はほとんど導入されておらず、それについて議論さえされていません。それは数字上で見える「効率性」の向上が、「創造性」に結びつくという思い違いがあるからでしょう。