「チームをまとめる」はリーダーの仕事ではない?
― “まとめ役”から“つなぎ役”へ:リーダーの新しい役割

初めてリーダーになったとき、誰もが「どうやってチームをまとめよう?」と悩みます。
でも今求められているのは、“まとめる力”よりも“つなぐ力”。
新しくリーダーになった人の多くが、「チームをまとめなきゃ」と思い込んでいます。
しかし、いざやってみると──
「意見がバラバラで全然まとまらない」
「みんな静かで、自分ばかり話している」
「気をつかいすぎて疲れる」
こうした悩みを抱えるリーダーは少なくありません。
でも実は、“まとめる”より“つなぐ”ことの方が、今のチームにはずっと大切なのです。
「まとめよう」とすると、チームは固まる
「リーダー=まとめ役」というイメージは、これまでの“管理型組織”の名残です。
意見を整理し、方向性を決め、チームを一つにまとめる──
もちろんそれも大事ですが、これをやりすぎるとメンバーの自発性が失われてしまいます。
特に最近のチームは、多様な価値観・働き方・スキルを持つメンバーで構成されています。
そんな中で「まとめる」ことを優先すると、
せっかくの多様性が“平均化”され、活力が消えてしまうのです。
リーダーの新しい役割は「つなぎ役」
組織開発の考え方では、リーダーの仕事は「人をまとめること」ではなく、
「人と人、考えと考えをつなぐこと」だと捉えます。
たとえば:
- 意見がぶつかったら、どちらかを抑え込むのではなく、共通点を見つけて“橋をかける”。
- 会議で発言の少ない人には、別の場で思いを聴き出し、全体に伝える役を担う。
- 上からの指示と現場の現実がずれているときは、間を翻訳して伝える。
つまり、リーダーは「調整役」ではなく「対話の媒介者」。
チームを**動かす“つなぎ目”**なのです。
“つなぎ役リーダー”が実践している3つの習慣
では、どうすれば「つなぎ役」になれるのでしょうか。
今日から実践できる3つの習慣を紹介します。
① 話の“間”を待つ
会議で沈黙があると、ついリーダーが埋めたくなります。
でも、沈黙は「考えている時間」かもしれません。
すぐにまとめようとせず、3秒待つ勇気を持つと、思いがけない意見が出てきます。
② 「あなたはどう思う?」を口ぐせに
リーダーが意見を言う前に、メンバーの視点を先に引き出す。
小さな対話の積み重ねが、メンバー同士を“つなぐ回路”になります。
③ 「関係性」を観察する
議題や成果だけでなく、人と人の関係性を見てみましょう。
「あの人、今日は元気ないな」「あの二人、会話が減ってるな」
──こうした“場の空気”を感じ取ることが、リーダーとしての大事な感性です。
チームが「自らつながる」瞬間
“つなぎ役”として動いていると、ある日ふと気づく瞬間があります。
それは、リーダーが何も言わなくても、メンバー同士が自然に話し合い始める瞬間です。
このとき、リーダーの役割は「指示」から「支援」へと変わります。
チームが自ら動くようになると、成果だけでなくチームの関係性そのものが成長していきます。
まとめ
- 「まとめよう」とするほど、チームは硬直する
- リーダーの仕事は、“まとめ役”ではなく“つなぎ役”
- つなぐための3つの習慣:「待つ」「聴く」「観る」
- 最終的に目指すのは、チームが自らつながり動く状態
あなたのチームでは、誰と誰を“つなぐ”ことが、いま一番必要でしょうか?
それを考えることから、組織開発は始まります。

