第4回 対話力を伸ばす ― 1on1とAIの組み合わせ

1on1は、メンバー一人ひとりと向き合い、信頼関係を育てる大切な時間です。
一方で、「何を話せばいいのかわからない」「ついアドバイスばかりしてしまう」「結局、雑談で終わってしまう」と感じているリーダーも少なくありません。
1on1の質は、リーダーの話術よりも準備と振り返りで大きく決まります。
そして、この準備と振り返りを支える存在として、AIは非常に有効です。
1. 1on1の準備をAIに任せる ― 話す前に整えておく
1on1がうまくいかない理由の多くは、「その場で考えながら話そうとする」ことにあります。
事前に視点が整理されていないと、会話は流れに任せたものになりがちです。
AIは、1on1前の思考の下準備を静かに支えてくれます。
● たとえば、こんな使い方
- 直近の会議メモや日報をAIに渡す
- メンバーの最近の発言や状況を整理してもらう
- 話すべきテーマ候補を洗い出す
このメンバーの最近の発言や状況を踏まえて、
次の1on1で確認しておくとよい視点を整理してください。
これだけで、「今日は何を話そう…」という迷いが大きく減ります。
2. 発言内容を構造化して「成長テーマ」を見出す
1on1では、多くの情報が言葉として出てきます。
しかし、それをその場だけで処理してしまうと、次につながりません。
AIは、発言の背景や傾向を構造化することが得意です。
● AIに整理してもらうと見えてくること
- 繰り返し出ている悩みや関心
- 強みとして表れている行動
- 本人がまだ言語化できていない課題
- 短期的な困りごとと、中長期の成長テーマの違い
この1on1のメモから、
・メンバーの強み
・今後の成長テーマ
・次回フォーカスするとよい点
を整理してください。
こうして整理された内容は、次回の1on1や育成計画につながります。
1on1が「点」ではなく、「線」になります。
3. “アドバイスしすぎ問題”を防ぐ ― AIをブレーキ役にする
多くのリーダーが無意識に陥るのが、アドバイスしすぎ問題です。
- 相手の話を最後まで聞く前に答えを出す
- 解決策を提示することが「支援」だと思ってしまう
- 結果として、メンバーの思考が止まる
AIは、この傾向に気づくための客観的な鏡になります。
この1on1のやり取りを振り返り、
私(リーダー)が話しすぎている点や、
質問に変えた方がよい場面があれば指摘してください。
AIは感情を傷つけることなく、冷静にフィードバックを返してくれます。
これにより、リーダー自身の関わり方を少しずつ調整できます。
4. 1on1でAIが担うこと、リーダーが担うこと
1on1でも、役割分担を意識するとAIの価値が明確になります。
AIが担うこと
- 事前準備の整理
- 発言内容の構造化
- 成長テーマの言語化
- 振り返りの視点提示
リーダーが担うこと
- 話を聴く
- 相手の感情に寄り添う
- 安心して話せる場をつくる
- 最終的な方向づけ
AIは、1on1の主役ではありません。
対話の質を高めるための裏方として機能します。
今日から使える「AIへの入力例」
● 1on1前の準備
このメンバーの最近の状況を踏まえて、
次の1on1で確認すべきポイントを整理してください。
● 1on1後の整理
この1on1メモをもとに、
・メンバーの強み
・成長テーマ
・次回のフォーカスポイント
を整理してください。
● リーダー自身の振り返り
今回の1on1での私の関わり方について、
改善できそうな点があれば指摘してください。
まとめ
1on1の質は、話す内容の多さではなく、
「どれだけ相手の思考と成長を引き出せたか」で決まります。
AIを準備と振り返りのパートナーとして活用することで、
対話に集中できる1on1が、少しずつ積み重なっていきます。

